がらくたがんぐ
我楽多玩具

冒頭文

私は玩具(おもちゃ)が好(すき)です、幾歳(いくつ)になっても稚気(ちき)を脱しない故(せい)かも知れませんが、今でも玩具屋の前を真直(まっすぐ)には通り切れません、ともかくも立停って一目(ひとめ)ずらりと見渡さなければ気が済まない位です。しかしかの清水晴風さんなどのように、秩序的にそれを研究しようなどと思ったことは一度もありません。ただぼんやりと眺めていればいいんです。玩具に向う時はいつもの小児

文字遣い

新字新仮名

初出

「新小説」1919(大正8)年1月号

底本

  • 岡本綺堂随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2007(平成19)年10月16日