とうこんのげきだんをこのままに
当今の劇壇をこのままに

冒頭文

今の劇壇、それはこのままでいいと思う。旧臘(きゅうろう)私は小山内(おさない)君の自由劇場の演劇を見た、仲々上手だった、然しあれを今の劇壇に直にまた持って来る事も出来ないでしょうし、文士劇でも勿論あるまい。 医師が薬を盛る時に、甚しく苦い薬であると、患者は「これは非常によく利(き)く」といわれても、飲むのを嫌がる、男はそれでも我慢をして飲みもするが、婦人などは「死んでも妾(わたし)は飲ま

文字遣い

新字新仮名

初出

「新声」1910(明治43)年2月

底本

  • 岡本綺堂随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2007(平成19)年10月16日