ようかいまんだん
妖怪漫談

冒頭文

このごろ少しく調べることがあって、支那の怪談本——といっても、支那の小説あるいは筆記のたぐいは総てみな怪談本といっても好いのであるが——を猟(あさ)ってみると、遠くは『今昔物語』、『宇治拾遺物語』の類から、更に下って江戸の著作にあらわれている我国の怪談というものは、大抵は支那から輸入されている。それは勿論、誰でも知っていることで、私自身も今はじめて発見したわけでもないが、読めば読むほどなるほどそう

文字遣い

新字新仮名

初出

「不同調」1928(昭和3)年12月号

底本

  • 岡本綺堂随筆集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2007(平成19)年10月16日