ちざんけん
地山謙

冒頭文

Tが私のために筮竹や筭木を買つて来て、自分で易を立てる稽古をするやうすすめてくれたのは、もうずゐぶん古い話であつた。お茶やお花のやうに易のお稽古をするといふのも変な言ひかたであるけれど、初めのうち私はほんとうに熱心にその稽古を続けてゐた。易の理論は何も知らず、内卦(くわ)がどうとか外卦(くわ)がかうだとか予備知識をすこしも持たず、ただ教へられたまま熱心にやつてみた。 そのずつと前から、私

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 燈火節
  • 月曜社
  • 2004(平成16)年11月30日