こうもりのれきし
蝙蝠の歴史

冒頭文

古いゲエルの伝説に出てくる蝙蝠の話を読むと、昔の昔から彼はきらはれものであつたらしい。蝙蝠にはいろいろの名があつたらしいが「黒い放浪者」といふのが一ばん詩的な名だとその伝説の筆者は書いてゐる。 世界の初めごろ蝙蝠は川蝉(かはせみ)のやうに青い色で、胸は燕のやうに白く、そしてうるほひ深い大きな眼を持つてゐたから、その眼の色とひらめく羽根のうごきとで「きらめく火」といふ名でもあつたが、世の中

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 燈火節
  • 月曜社
  • 2004(平成16)年11月30日