かことなったアイルランドぶんがく
過去となつたアイルランド文学

冒頭文

今はもう昔のこと、イエーツは一九二三年にノーベル文学賞をもらつた時の感想を書いてゐる——その時私の心にはここにゐない二人のことが考へられた。遠い故郷にただ一人で寂しく暮らしてゐる老婦人と、わかくて死んだもう一人の友と——。グレゴリイ夫人とシングとはイエーツと共にアイルランドの文芸運動を起した中心の人たちであるから、イエーツはいま自分が貰ふノーベル賞は三人が共に受けるべきものと思つたのであらう。その

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 燈火節
  • 月曜社
  • 2004(平成16)年11月30日