あけび
あけび

冒頭文

隣家の庭に初めてあけびが生つたからと沢山わけていただいた。私といつしよに暮してゐる山形生れのHは、かねてからあけびは実よりも皮の方がおいしい、皮を四五日かげぼしにしてから細かくきざんで油でいためたのを醤油でゆつくり煮しめて食べるのだといふことをしきりに言つてゐたから、すぐにその料理を作つてもらつた。じつに珍味であつた。ほろにがく、甘く、やはらかく、たべてゐるうちに山や渓の空気を感じた。

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 燈火節
  • 月曜社
  • 2004(平成16)年11月30日