おいてけぼり
おいてけ堀

冒頭文

本所(ほんじょ)のお竹蔵(たけぐら)から東四つ目通、今の被服廠(ひふくしょう)跡の納骨堂のあるあたりに大きな池があって、それが本所の七不思議の一つの「おいてけ堀」であった。其の池には鮒(ふな)や鯰(なまず)がたくさんいたので、釣りに往(ゆ)く者があるが、一日釣ってさて帰ろうとすると、何処(どこ)からか、おいてけ、おいてけと云う声がするので、気の弱い者は、釣っている魚を魚籃(びく)から出して逃げて来

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 怪奇・伝奇時代小説選集3 新怪談集
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1999(平成11)年12月20日