ちゅうとう
偸桃

冒頭文

少年の時郡へいったが、ちょうど立春の節であった。昔からの習慣によるとその立春の前日には、同種類の商買をしている者が山車(だし)をこしらえ、笛をふき鼓(つづみ)をならして、郡の役所へいった。それを演春(えんしゅん)というのであった。 私も友人についてそれを見物していた。その日は外へ出て遊んでいる人が人垣を作っていた。堂の上には四人の官人に扮(ふん)した者がいたが、皆赤い着物を着て東西に向き

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 聊斎志異
  • 明徳出版社
  • 1997(平成9)年4月30日