せんきゅうひやくにじゅうはちねんさんがつじゅうごにち
一九二八年三月十五日

冒頭文

一 お惠には、それはさう仲々慣れきることの出來ない事だつた。何度も——何度やつてきても、お惠は初めてのやうに驚かされたし、ビク〳〵したし、周章てた。そして、又その度に夫の龍吉に云はれもした。然し女には、それはどうしても強過ぎる打撃だつた。 ——組合の人達が集つて、議題を論議し合つてゐるとき、お惠がお茶を持つて階段を上つて行くと、夫の聲で、 「嬶の意識の訓練となると、手こず

文字遣い

旧字旧仮名

初出

一~四「戰旗 昭和三年十一月号」全日本無産者藝術聯盟本部、1928(昭和3)年11月1日<br>五~九「戰旗 昭和三年十二月号」全日本無産者藝術聯盟本部、1928(昭和3)年12月1日

底本

  • 戰旗 昭和三年十一月号
  • 全日本無産者藝術聯盟本部
  • 1928(昭和3)年11月1日