文登(ぶんとう)の景星(けいせい)は少年の時から名があって人に重んぜられていた。陳(ちん)生と隣りあわせに住んでいたが、そこと自分の書斎とは僅かに袖垣(そでがき)一つを隔てているにすぎなかった。 ある日の夕暮、陳は荒れはてた寂しい所を通っていると、傍の松や柏の茂った中から女の啼(な)く声が聞えて来た。近くへいってみると、横にしだれた樹の枝に帯をかけて、縊死(いし)しようとしているらしい者がいた