金大用(きんたいよう)は中州(ちゅうしゅう)の旧家の子であった。尤(ゆう)太守の女(むすめ)で幼な名を庚娘(こうじょう)というのを夫人に迎えたが、綺麗(きれい)なうえに賢明であったから、夫婦の間もいたってむつましかった。ところで、流賊の乱が起って金の一家も離散した。金は戦乱の中を両親と庚娘を伴(つ)れて南の方へ逃げた。 その途中で金は少年に遇った。それも細君(さいくん)と一緒に逃げていく