しんていきららざか |
新訂雲母阪 |
冒頭文
一 「本当にそうか。」 と、聞かれると、そうで無いとは云え無い。く、とは確(たしか)に聞いたのだから、これは断言できる。然し次の、る、はそう云ったような、云わないような、何(ど)うも明かで無いが、自分が唯一の証人で大勢の中で、美しい寡婦の悄然(しょうぜん)としている前で 「くる、と確に聞いた。」 と、云った言葉を 「本当か。」 と、念を押されると、今更、いや一寸
文字遣い
新字新仮名
初出
「文藝春秋」文藝春秋、1926(大正15)年10月
底本
- 昭和のエンタテインメント50篇(上)
- 文春文庫、文藝春秋
- 1989(平成元)年6月10日