よしわらひゃくにんぎり
吉原百人斬り

冒頭文

序章 随分久しい馴染だつた神田伯龍がポツクリ死んで、もう三年になる。たび〳〵脳溢血を患つてゐた彼だつたから、決してその死も自然でなかつたとは云へまいが、兎に角直つて平常に高座もつとめ、酒も煙草も慎んでゐた丈けに、やはりその死は唐突の感をおぼえないわけには行かなかつた。 死ぬ前日、彼はある寄席の高座で、必らずいつもは、 「……云々と云ふ物語を、こんな一席の講談に纏めて見ました」

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻15 色街
  • 作品社
  • 1992(平成4)年5月25日