あせん
阿繊

冒頭文

奚山(けいざん)は高密(こうみつ)の人であった。旅に出てあきないをするのが家業で、時どき蒙陰(もういん)県と沂水(ぎすい)県の間を旅行した。ある日その途中で雨にさまたげられて、定宿(じょうやど)へゆきつかないうちに、夜が更(ふ)けてしまった。宿をかしてくれそうな物を売る家の門口をかたっぱしから叩(たた)いてみたが、返事をするものがなかった。しかたなしに廡下(のきした)をうろうろしていると、一軒の家

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 聊斎志異
  • 明徳出版社
  • 1997(平成9)年4月30日