おおきなばけもの
大きな怪物

冒頭文

妖怪とか変化(へんげ)とか、生霊とか死霊とか種々(いろいろ)な怪物(ばけもの)に就(つい)ては度々(たびたび)前に話をしたり書いたりしたから改めて申すまでも無かろうから今度は少し変った筋の話をする事にする。 一体(いったい)怪物(ばけもの)と云えば不思議なもので世間にあまり類と真似の無いもののようだが、よく考えてみるとこの世の中にありとあらゆるものは皆怪物(ばけもの)になる、ただ私達の眼

文字遣い

新字新仮名

初出

「新小説 明治四十四年十二月号」春陽堂、1911(明治44)年12月

底本

  • 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2007(平成19)年7月10日