やみのしらが
暗夜の白髪

冒頭文

最早(もう)九年ばかり以前の事だ、当時私の宅へよく遊びに来た芝(しば)警察署詰(づめ)の某氏の実見談(じっけんだん)である。その男というのはその時分丁度(ちょうど)四十一二ぐらいで、中々(なかなか)元気な人だったし、且(か)つ職務柄、幽霊の話などは初(てん)から「何(な)んの無稽(ばか)な」と貶(けな)した方だった、がしかしその男がこの時ばかりは「君(きみ)実際恐怖(おそろし)かったよ」と顔色を変

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2007(平成19)年7月10日