かれおばな
枯尾花

冒頭文

◎北千住(きたせんじゅう)に今も有る何(な)んとか云う小間物屋の以前(もと)の営業(しょうばい)は寄席であったが、亭主が或る娼妓(しょうぎ)に精神(うつつ)をぬかし、子まである本妻を虐待(ぎゃくたい)して死に至らしめた、その怨念が残ったのか、それからと云うものはこの家に奇(あや)しい事が度々(たびたび)あって驚(おど)ろかされた芸人も却々(なかなか)多いとの事であるが、或(ある)時素人連(しろうと

文字遣い

新字新仮名

初出

「新小説 明治四十四年十二月号」春陽堂、1911(明治44)年12月

底本

  • 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2007(平成19)年7月10日