きなしぎく
鬼無菊

冒頭文

信州(しんしゅう)の戸隠(とがくし)山麓なる鬼無村(きなしむら)という僻村(へきそん)は、避暑地として中々(なかなか)佳(よ)い土地(ところ)である、自分は数年前(ぜん)の夏のこと脚気(かっけ)の為(た)め、保養がてらに、数週間、此地(ここ)に逗留(とうりゅう)していた事があった。 或(ある)日の事、自分は昼飯を喫(た)べて後(のち)、あまりの徒然(とぜん)に、慰み半分、今も盛りと庭に咲

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2007(平成19)年7月10日