うすどろどろ
薄どろどろ

冒頭文

▲幽霊の家柄でいて、幽霊種(ゆうれいだね)がないというのはちと妙なものですが、実際私の経験という方からいっては、幽霊談皆無といっても可(い)いのです、尤(もっと)もこれは幽霊でない、夢の事ですが、私を育ててくれた乳母(うば)が名古屋(なごや)に居まして、私が子供の内に銀杏(ぎんなん)が好(すき)で仕様がないものだから、東京へ来ても、わざわざ心にかけて贈ってくれる。ああ乳母の厚意だと思って、いつもお

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2007(平成19)年7月10日