こどものれい
子供の霊

冒頭文

私が十三歳の時だから、丁度(ちょうど)慶応三年の頃だ、当時私は京都寺町通(きようとてらまちどおり)の或る書房に居たのであるが、その頃に其頃(そこ)の主人夫婦の間に、男の子が生れた。すると奇妙なことに、その子に肛門がないので、それが為(た)め、生れて三日目の朝、遂(つい)に死んでしまった。やがて親戚や近所の人達が、集(あつま)って来て、彼地(あちら)でいう夜伽(よとぎ)、東京(とうきょう)でいえば通

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2007(平成19)年7月10日