せいどうき
青銅鬼

冒頭文

何日(いつ)だったか、一寸(ちょっと)忘れたが、或(ある)冬の夜のこと、私は小石川区金富町(こいしかわくきんとみちょう)の石橋思案(いしばししあん)氏の家(うち)を訪れて、其処(そこ)を辞したのは、最早(もう)十一時頃だ、非常に真暗(まっくら)な晩なので、全く鼻を撮(つま)まれても解らないほどであった、ふいと私は氏の門を出て、四五間(けん)行くと、その細い横町の先方(さき)から、低く草履(ぞうり)

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2007(平成19)年7月10日