おんなのひざ
女の膝

冒頭文

私の実見(じっけん)は、唯(ただ)のこれが一度だが、実際にいやだった、それは曾(かつ)て、麹町三番町(こうじまちさんばんちょう)に住んでいた時なので、其家(そこ)の間取(まどり)というのは、頗(すこぶ)る稀(ま)れな、一寸(ちょいと)字に書いてみようなら、恰(あだか)も呂(ろ)の字の形とでも言おうか、その中央(なか)の棒が廊下ともつかず座敷ともつかぬ、細長い部屋になっていて、妙に悪(わ)るく陰気で

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 文豪怪談傑作選・特別篇 百物語怪談会
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 2007(平成19)年7月10日