ちゃのほん 01 はしがき
茶の本 01 はしがき

冒頭文

たやすく郷党に容(い)れられ、広く同胞に理解されるには、兄の性行に狷介味(けんかいみ)があまりに多かった。画一平板な習俗を懸命に追うてただすら他人の批評に気をかねる常道の人々からは、とかく嶮峻(けんしゅん)な隘路(あいろ)を好んでたどるものと危ぶまれ、生まれ持った直情径行の気分はまた少なからず誤解の種をまいてついには有司にさえ疑惧(ぎぐ)の眼を見はらしめるに至った兄は、いまさらのように天地のひろさ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 茶の本
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1929(昭和4)年3月10日、1961(昭和36)年6月5日第38刷改版