せいじのさら
青磁の皿

冒頭文

故人小杉榲邨(すぎむら)博士の遺族から売りに出した正倉院の御物(ぎよぶつ)が世間を騒がせてゐるが、同院が東大寺所管時代の取締がいかにぞんざいであつたかを知るものは、かうした御物が小杉博士の遺族から持ち出されたといつて、単にそれだけで博士を疑ふのはまだ早いやうに思はれる。 むかし鴻池家に名代の青磁の皿が一枚あつた。同家ではこれを広い世間にたつた一つしか無い宝物(ほうもつ)として土蔵にしまひ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻9 骨董
  • 作品社
  • 1991(平成3)年11月25日