きせつのかわるごとに
季節の変るごとに

冒頭文

季節の変るごとに、武蔵野はそれより一足先きに春秋の風がふき、霜も雪も早く来る、夏草が茂るのも早い。その野原に近い家で何年か暮して来て、毎日の生活には季節の物をたべてゐるのが一ばんおいしく、一ばん経済であることもおぼえた。 冬から春にかけ、らくに手に入るものは、野菜の中で一ばん日本人好みの大根で、それに白菜、小蕪、ほうれん草、果物では林檎とみかんをずうつと六ヶ月位たべ通すのである。十二月、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「美しい暮しの手帖 八号」1950(昭和25)年7月

底本

  • 燈火節
  • 月曜社
  • 2004(平成16)年11月30日