がんぶつ
贋物

冒頭文

村井吉兵衛(きちべゑ)が伊達家の入札で幾万円とかの骨董物を買込んだといふ噂を伝へ聞いた男が、 「幾ら名器だつて何万円は高過ぎよう。それにそんな物を唯(たつた)一つ買つたところで、他(ほか)の持合せと調和が出来なからうぢやないか。」 といふと、吉兵衛は女と金の事しか考へた事のない頭を、勿体ぶつて一寸掉(ふ)つてみせた。そして一言一句が五十銭づつの値段でもするやうに、出(だ)し惜(をし)みをす

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻9 骨董
  • 作品社
  • 1991(平成3)年11月25日