まち

冒頭文

県庁のある町には一種のきまつた型がある。大抵封建時代の城址をその公園にして、其一部に兵営があつたり、行政官衙(くわんが)があつたりする。そしてその街には屹度東京の浅草公園とか大阪の千日前とかを小さくしたやうな賑かな一角を持つて居る。 県庁のある町は概して感じが浅薄で、何処となく気分がそは〳〵する。繁華の程度が加はつて来れば来るほど、其土地固有の古い空気を失つて居る。広島だの仙台だの、岡山だの、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文章世界 第六巻第十一号」1911(明治44)年8月1日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十七巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年7月10日