いってみたいところ
行つて見たいところ

冒頭文

四月から、何処に行つても面白い。海も好い。山も好い。あの温かい風が吹いて来ると、家の中にじつとしてゐられないやうな気がする。此処に少し行つて見たいところを書いて見る。 五月の中頃あたりに、那須の湯元に行つた時の心持は忘れられない。あそこは冬の長い間眠つてゐて、やつとその時分になつて眼を覚したといふやうな感じのするところで、伊香保などよりもぐつと荒涼としてゐる。山桜はまだ開かないし、蕨(わらび)

文字遣い

新字旧仮名

初出

「読売新聞」1926(大正15)年3月29日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十七巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年7月10日