スケッチ
スケツチ

冒頭文

何うも大袈裟の議論が多い。やれ国民的自覚とか、国民的同化とか、読んで見れば一応は筋道はわかつてゐるが、要するに筋で、肉でない。内容は頗る貧弱で、抽象的の断定ばかり下してゐる。かういふ抽象論は、明治以来何遍文壇に繰返されたか知れないけれど、遂に遂にある風潮を捲き起す為めに役に立つことはない。 何故さうかと言ふに、根本でないからである。或は外国の模倣か、でなければ世間並の雷同か、でなければ単なる智

文字遣い

新字旧仮名

初出

「太陽 第二十二巻第九号」1916(大正5)年6月28日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十四巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年4月10日