はるな
春菜

冒頭文

一 郷里にゐる弟のところから、粗末な竹籠の小荷物が、押潰されたやうになつたまま送りとどけられて来た。 その途端、鼻を刺すやうな激しい臭みが、籠の目を洩れて、そこらにぷんぷんと散ばつて往つた。それを嗅ぎつけると、私はほくそ笑みながら、すぐに自分の手で荷物の縄目を解きにかかつた。 包の中からは採りたてかと思はれるやうな、新鮮な韮の幾束かが転がり出してきた。私はその一つを手に取

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆59 菜
  • 作品社
  • 1987(昭和62)年9月25日