めいじぶんがくのがいかん
明治文学の概観

冒頭文

一 飜案の時代 明治の文学は、飜案の時代、飜訳の時代だと言へる。国民性といふことが言はれるけれど、その国民性と文学と何の点まで一致して居るかといふことは疑問である。 勿論、それは明治の時代がさういふ時代であるからである。物質上ばかりでなく、精神上にも一般に模倣飜案といふことは争はれない。学者も思想家も創作家も、西洋の著書からその思想と問題と様式と着想とを得て来て、そしてそれを今の実際に当ては

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文章世界 第七巻第十四号」博文館、1912(大正元)年10月15日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十四巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年4月10日