はかのうえにはか
墓の上に墓

冒頭文

銘々(めい〳〵)に、代り代り人生の舞台に出て行く形が面白いではないか。古来何千年の昔から人間がやつて来たと同じやうに、波の上に波が打寄せて来るやうに……。 我々は墓の上に墓を築きつゝあるのである。ロマン・ロオランが死者に逢ふといふことは自分の生を段々送つて行くことだと云つたが、実際さういふ気がする。父母の生活は年を経るに従つて次第に私達の心と胸とに蘇(よみがえ)つて来る、父母も、又その父母も、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文章世界 第十二巻第三号」1917(大正6)年3月1日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十四巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年4月10日