つうぞくしょうせつ
通俗小説

冒頭文

△ 私が鈍才であるためかも知れないが、何うも本格的な小説が書けない。一時は随分そのために苦労もし、骨も折つて見たのであるが——人一倍いろいろなことをやつて見たいと思つてゐるが、その出来栄(ばえ)の如何といふことよりも、何うもそれでは自分で満足が出来ない。こんなものをいくら書いたつてしやうがないといふやうに思はれて、あとでそれを振返つて見る気になれない。その癖、私のかねての願望はさうではなかつたので

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新潮 第四十一巻第二号」1924(大正13)年8月1日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十四巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年4月10日