ちたののまで |
| 知多の野間で |
冒頭文
一 知多半島の東浦から西浦に越えて行く路は、今までにないほどの興味を私に誘つた。『知多半島ツて、こんなところかなア、こんなに面白い地形とは思はなかつた』私はかう独語した。 私は東浦の河和から車で越した。低山性の複雑した丘陵が、時には東を開き、南を開くといふやうな形を見せてゐたが、次第にのぼるにつれて、北も西もすつかり眼中に落ちて来た。その地平線の濶さ! 東浦も見えれば、西浦も見える。南の方には
文字遣い
新字旧仮名
初出
「電気と文芸 第二巻第三号」電気文芸社、1921(大正10)年3月1日
底本
- 定本 花袋全集 第二十四巻
- 臨川書店
- 1995(平成7)年4月10日