せっくつ
石窟

冒頭文

一 そこに来た時には、二人は思はずはつとした。大きなものに——何とも言はれない大きなものに打突かつたやうな気がした。かれ等はかうしたものが此の山の中にあらうとは思はなかつた。 「む、む——」 暫くしてから洋画家のAは唸るやうな声を出した。 「大したもんだな——何んとも言はれんな——」 ひとりは小説家でMと言はれてゐた。 二人はまた押黙つた。その感動を言ひあら

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 定本 花袋全集 第二十一巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年1月10日