すまこのし
須磨子の死

冒頭文

他を批評するといふ心は、他に対して未だ完全の理解を持つてゐない心である。いかなる批評を以てしても、その当躰の核心は言破することが出来ない。その批評それ自身が批評される当躰と同一乃至抱合の境地に達しない以上は——。そしてその境地は既に批評の境地でなくて、自己の独創になつてゐることを私は思ふ。 批評は他のために存在するものでなくつて、自己の為めに存在するものであらねばならぬ。紛々たる世間の批評は、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文章世界 第十四巻第二号」1919(大正8)年2月1日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十四巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年4月10日