じんらい |
| 迅雷 |
冒頭文
× およそ雷で一番恐ろしいのは、山の上で逢つたことだ。私は日光の山奥でさういふ経験を甞めたことがあつた。雨は車軸を覆すばかりに降る。風は凄じく下から巻きあげる。それに、電光が交叉して、そこでも此処でも雷が轟く。何とも言はれない恐ろしさだつた。 日本アルプスの登山者なども、何うかすると、さういふ目に逢ふといふことであつた。さういふ時に注意しなければならないことは、身の周囲に金属をつけておいてはな
文字遣い
新字旧仮名
初出
「電気と文芸 第二巻第六号」電気文芸社、1921(大正10)年6月1日
底本
- 定本 花袋全集 第二十四巻
- 臨川書店
- 1995(平成7)年4月10日