しんりのじゅうだんとおうだん |
| 心理の縦断と横断 |
冒頭文
箇々の対立までは、誰でも行けるが、それから箇々の融合まで行く路が容易でない。対立を痛感するといふことは、既にかなりに深く自己の心理の縦断をやつたことではあるが、この縦断から横断に移つて行く間に、越え難い大きな谷がある。そしてこの谷を渉るには殊に玲瓏(れいろう)透徹した縦断の太い丈夫な綱が必要である。 縦断にも、無限の度数があり、また無限の波動のリズムがあつて、絶えず一起一伏してゐる。寸進尺退(
文字遣い
新字旧仮名
初出
「文章世界 第十三巻第四号」1918(大正7)年4月1日
底本
- 定本 花袋全集 第二十四巻
- 臨川書店
- 1995(平成7)年4月10日