しゃかいとじこ
社会と自己

冒頭文

社会と自己との問題はかなり複雑したものである。時には社会本位になつたり自己本位になつたりする。しかし、社会と自己との交渉が離るべからざるものであるのは、元より言ふを待たないことである。 『だツて、現に君達はこの社会に生きてゐるぢやないか。自分一人で生きてゐるやうなことを言つてゐるけれど、この社会がなかつたら、君は何うする!』かういふことを言ふ人がある。そんなことはわかり切つたことである。問題はそ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「太陽 第十九巻第十三号」1913(大正2)年10月1日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十四巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年4月10日