しまのうた
島の唄

冒頭文

一 あゝ焼けたな——ある日の朝、Bは新聞を見ながら思はずかう独語した。本町と言へば、たしかにあの宿屋のあたりだが、その記事では、もつと此方の税務所や郡役所が焼けて、もう少しでその前にある大きな門と前庭とを持つた旧式な二階建の建物に火が移らうとしたのを、やつとのことで消し留めたといふことが書いてあつた。⦅では、好い塩梅にあの宿屋は焼けずにすんだかも知れないな⦆同時にあの港の人達がその火事のために大

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新小説 第三十年第三号」1925(大正14)年4月1日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十一巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年1月10日