しまからのきと
島からの帰途

冒頭文

KとBとは並んで歩きながら、 『向うから見たのとは、感じがまた丸(まる)で違ふね?』『本当だね……』『第一、こんな大きな、いろいろなもののあるところとは思はなかつた。医者もあれば、湯屋もある。畠もある。野菜だツて決して少い方ではない。立派な別天地だ……。こゝなら配流の身になつても好いね?』『一月ぐらゐ好いね……』『いや、僕はもつと長くつても好い。一年ぐらゐかういふ世離れたところにじつとしてゐたい

文字遣い

新字旧仮名

初出

「女性 第二巻第四号」1922(大正11)年10月1日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十二巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年2月10日