こころのかいだん
心の階段

冒頭文

一 十二年は有島君のことだの、武者小路君のことだの、地震だの、大杉君のことだの、いろいろなことがあつた。尠くとも作品そのものよりも、実際的に衝動を受けたことの方が多かつた。それに、私の一身上から言つても、半ば以上を旅に費したりして、しみじみ筆硯(ひつけん)に親しんでゐる暇がなかつた。 静かに考へなければならない時がまたやつて来たやうな気がした。島崎君は老年に徹するといふことをその全集の序言で

文字遣い

新字旧仮名

初出

「福岡日日新聞 第一四四三五号」1924(大正13)年1月1日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十四巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年4月10日