くろねこ
黒猫

冒頭文

この作は非常に面白い。しかし何故(なぜ)面白いのか。何故かう心を惹くのか。さう思つて考へて見ても、何(ど)うしてもその理由がわからないやうな場合がよくある。例の芭蕉の『昼見れば首筋赤きほたるかな』などもその一つである。非常に面白いけれど、その面白い理由が、説明しようとしても容易に出来ない。(不思議なもんだなア、芸術は?)かう私は思はずにはゐられなかつた。 『かへつて、説明出来ないやうな芸術の方が

文字遣い

新字旧仮名

初出

「電気と文芸 第二号」電気文芸社、1920(大正9)年9月1日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十四巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年4月10日