おざきこうようとそのさくひん |
| 尾崎紅葉とその作品 |
冒頭文
一 『色懺悔』『夏痩』あたりから、私は紅葉の作物を手にした。矢張、毎朝『読売』の一回を楽んだ方で、『おぼろ舟』のお藤『心の闇』のお粂などは、長い間忘れられないほどの印象を私の頭脳に残して居た。 其頃『江戸紫』といふ雑誌が硯友社の人達の手に由つて発行されて居た。それを千駄木の鴎外漁史が評して、『われも紫の一本ゆゑにかの雑誌を愛読するものなり』といふ意味のことを書いた。紫の一本、無論それは紅葉を指して
文字遣い
新字旧仮名
初出
「太陽 第十八巻第九号 「博文館創業二十五週年紀念」増刊号」博文館、1912(明治45)年6月13日
底本
- 定本 花袋全集 第二十四巻
- 臨川書店
- 1995(平成7)年4月10日