あるしんねんのしょうせつひょう |
| 或新年の小説評 |
冒頭文
○ おくればせに新年と二月の小説を飛び〳〵に読んで見た。 正宗君の『催眠薬を飲むまで』は、またいつもの同じ題材だと思ひ〳〵読んで行つたが、最後の二頁に行つて、がらりと引くりかへされた。流石だと思つた。かういふ風に少年の自殺を見た形も面白いと思つた。たゞし、最後の二三の句に、少し色の濃すぎた、主観の言葉の入りすぎたところがあつて、やゝ自然らしい感じを傷つけたやうな気がした。『田舎者』は、旨くは書
文字遣い
新字旧仮名
初出
「文章世界 第十一巻第三号」1916(大正5)年3月1日
底本
- 定本 花袋全集 第二十四巻
- 臨川書店
- 1995(平成7)年4月10日