『みずのせんこしゅう』とそのほか
『水野仙子集』と其他

冒頭文

× 水野仙子の集が、今度叢文閣から公にせられることゝなつた。喜ばしいことである。かの女は純粋に『文章世界』をその故郷にして、そして文壇に出て行つた人である。私は『暗い家』だの、『お寺の児』だの『徒労』などを思ひ出さずには居られない。 純な、正直な性質と、真面目な気分と、飽まで進んで行くべきところに進んで行く心と——。 私の家には、一年とはゐなかつた。五月に来て、十二月には、もう別な家を代々

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文章世界 第十五巻第六号」博文館、1920(大正9)年6月1日

底本

  • 定本 花袋全集 第二十四巻
  • 臨川書店
  • 1995(平成7)年4月10日