おんりょうしゃくよう
怨霊借用

冒頭文

一 婦人は、座の傍(かたわら)に人気のまるでない時、ひとりでは按摩(あんま)を取らないが可(い)いと、昔気質(むかしかたぎ)の誰でもそう云う。上(かみ)はそうまでもない。あの下(しも)の事を言うのである。閨(ねや)では別段に注意を要するだろう。以前は影絵、うつし絵などでは、巫山戯(ふざけ)たその光景を見せたそうで。——御新姐(ごしんぞ)さん、……奥さま。……さ、お横に、とこれから腰を揉(も)

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 泉鏡花集成7
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1995(平成7)年12月4日