りゅうとしじん
龍と詩人

冒頭文

龍のチャーナタは洞のなかへさして來る上げ潮からからだをうねり出した。 洞の隙間から朝日がきらきら射して來て水底の岩の凹凸をはっきり陰影で浮き出させ、またその岩につくたくさんの赤や白の動物を寫し出した。 チャーナタはうっとりその青くすこし朧ろな水を見た。それから洞のすきまを通して火のやうにきらきら光る海の水を淺黄いろの天末にかかる火球日天子の座を見た。 (おれはその幾千由旬

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 宮澤賢治全集第六卷
  • 筑摩書房
  • 1956(昭和31)年12月20日