もものしずく
桃の雫

冒頭文

六十歳を迎へて 年若い時分には、私は何事につけても深く〳〵と入つて行くことを心掛け、また、それを歡びとした。だん〳〵この世の旅をして、いろ〳〵な人にも交つて見るうちに、淺く〳〵と出て行くことの歡びを知つて來た。 路(岩波書店の雜誌「文學」の創刊に寄す) 古い言葉に、この世にめづらしく思はれるものが三つある。いや、四つある。空に飛ぶ鷲の路、磐の上

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 藤村全集第十三卷
  • 筑摩書房
  • 1967(昭和42)年3月10日